2024/05/05(日)りんごのケーキじゃなかった気がする

昼ご飯に食パンを焼いた。最近は米や麺ばかり食べているからパンを食べるのは久しぶり。トースターの目盛りがジリジリ言うのを聞きながらコーヒー用のお湯を沸かす。なかなか食パンに焼き目が付かないなと思っていたらトースターのコンセントが抜けていた。

 

コンセントを挿してまた目盛りを回し、コーヒーを飲む。そろそろ焼ける頃かなとトースターに目をやると食パンが見えない。しまった、と覗き込むと暗闇に同化するほど焦げた食パンがある。目盛りを0に回してそれを取り出し、焦げた表面を包丁で払った。

 

数日前に怪我をした傷の一部が膿み始めた。処方された薬を毎日塗って順調に治っていく様子に満足していたから、一部分とはいえ悪化しているのを見ると悲しい。

 

夜、数日前に買ったパウンドケーキを食べるも、ケーキの味の名前が分からない。黄色い果肉が入っている。食べてみればそれがりんごであることは分かったけれど、「りんごのケーキ」なんてシンプルな名前だっただろうか。もう少し長い名前だった気もする。

 

店のショーケースには焼き菓子たちが綺麗に並べられていて、そばに商品名の書かれた値札が置かれている。紅茶のケーキ¥500、ドライフルーツとラム酒のケーキ¥570、ナッツとベリーのケーキ¥550。

 

ショーケースの前では色とりどりのケーキに心を奪われ、名前と見た目から味を想像し、あれとあれを買ったらいくらだろうかと支払い金額を計算する。視覚から入手できる情報を集めて商品を選ぶことに必死で、ケーキの名前を忘れてしまう可能性なんて少しも頭になかった。そしていま、目の前の黄色い果実の入ったケーキの名前がわからない。おいしく食べた。

 

最近「いまメソメソしているなぁ」と度々思う。メソメソしてもいいんだぞと自分に言い聞かせるように、「メソメソしているな」と自分の様子をなぞって頭の中で呟いている。