2024/04/23(火)春は夜

夜ご飯を食べるのに久しぶりに台所に立った。最近料理をする気力がなかったので自分で何か作ろうと思えることにほっとする。作るのは冷凍うどんを使ったカレー風味の焼きうどんだから、大したことはないのだけれど。

 

日曜日に料理を諦めて外食したのが良く作用した気がする。無理な時は諦めてしまって、時が来るのを待つのも一つの方法なのだなと思う。

 

食後にお茶を淹れようとして、水が切れていることに気づきコンビニへ行く。ご飯を買うため以外の理由でコンビニへ行くのは久しぶりだ。お菓子でも買おうかとうろうろ棚を見てまわるけれど、空腹じゃないと甘いものも酒も我慢できる気がして何も買わなかった。

 

家へ戻って、箱ティッシュも買うつもりだったのを忘れていたと気づく。もう一度コンビニへ行くしかないと考えると途端にお腹が減った。

 

同じコンビニに行く気持ちになれなくてスーパーへ。箱ティッシュと一緒に河内晩柑と味の素のレトルトの粥を買う。

 

数年前に初めて食べてから河内晩柑が好きだ。少しだけ苦味と酸味があるけれど、ほんのり蜂蜜のような甘さがあって良い。

 

味の素のレトルト粥も好きでよく食べる。梅がゆと白がゆをよく買う。具材が何も入っていない白がゆは特に米の甘さが引き立って、温めなくてもおいしい。コロナがもっと恐れられていた頃、レトルト粥をいくつも買うと発熱していると思われそうでなんとなく気が引けて、こそこそとセルフレジで購入していた。

 

好きな食べ物を手に軽い足取りで家へ戻る。気温が15度ほどで、薄着だと少し肌寒い。

 

夜に外を歩くのは、自然と景色を眺める時間になる。電車の時間を気にして早足になることもないし、辺りはしんとして人の話し声も聞こえない。冷たい空気に静けさを感じて、ぼうっと光る信号機に闇の色を見る。

 

風が吹くと花の青い香りがして辺りを見渡した。夜道にくっきりと赤い薔薇が咲いている。そういやこの前の夜中も、コンビニへ行く道で桜が香った。

 

花見をしに訪れた公園で桜の匂いを嗅いだ時のことを思い出す。花弁に顔を近づけ、鼻で深く空気を吸い込む。するとようやく微かに甘い香りがする。あの微かな香りが、夜に桜の木の横を通るだけで鼻へ届くものかと驚いた。

 

昼間のあたたかい日差しも良いけれど、ひんやりした空気に花が香る夜が嬉しい。春は夜。風うち吹くころはさらなり。